上流業務の必須パッシブスキル【問題解決】を身につける『問題の洗い出し・テーマ化編』

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はじめに

第1章では、『リサーチ・分析編』として解説させていただきました。
記事はこちら

第2章の今回は、問題発掘とテーマ化を題材にした内容です!
 
ビジネスにおける問題の原因は1つとは限りません。
複数の原因が複雑に絡まり合っている場合もあります。問題解決を効率的に行うためには、真の原因を追究し、適切な解決策を導き出すためにテンプレを利用しましょう。

1.問題点の整理

1-1.ダラリの法則

★例:ビジネスで起こりえる問題
 社内ミーティングで「業務の改善につなげるために、現状の問題点を洗い出せ」と指示を出すが、社員が出す問題点はどれも同一性が無く、業務改善につながらない・・
 
★使い方
「ムダ・ムラ・ムリ」の3つの視点で問題点を洗い出す法則」
 
「ダラリの法則」とは「ムダ・ムラ・ムリ」の3つの視点から、日常の業務や身の周りで起きている問題点を探し出す法則です。
 
「ムダ」とは
・チェック表の作成の無駄
・チェックの手間のムダ 

 
「ムラ」とは
・気分のムラ
・成果のムラ

 
「ムリ」とは
・スケジュールのムリ
・ムリなお願い

 
その他にも、肉体的に負担のかかる業務や行為、姿勢なども含まれます。
 
社員のそれぞれが同じ3つの視点で問題点を洗い出すことができれば、問題意識の共有にもつながり、結果として会社全体の業務改善ができます。

効率的な業務改善を立てるためには、会社や社員が抱えるもんだ点を同じ視点で集めると効果的です。
同じ視点とは「ムダ・ムラ・ムリ」の3つ。
この3視点で問題点を整理するために便利なのが、付箋を使った方法です。
まず、社員全員が匿名で「ムダ・ムラ・ムリ」の視点から、問題点をどんどん付箋に書き出します。
次に書いたものを集めて、3つの視点に分類します。
 
分類された問題点には、重要度の高い順に5段階で点数をつけて評価します。
評価の高い、もしくは重複した中でも特に重要な問題点を中心に絞りこんで議論を行えば効率的な業務改善策を立てられるようになります。
 

1-2.三現主義

★例:ビジネスで起こりえる問題
来月開催される音楽祭の会場を訪れたが、その規模を見て愕然とした。
「この広さでは、すべての来場者を収容できない!」と激怒している。
企画チームは、どうやらインターネットの情報のみで会場を決定した様子だ。
 
 
★使い方
「仕事や問題解決には「現地・現物・現実」を基に進める」
 
「三現主義」とは、「現地・現物・現実」のことで、仕事や問題解決に取り組む際に思い込みにとらわれずに、正しい意思決定をするために欠かせないセオリーです。
 
「現地」とは
実際にその場に足を運ぶこと。
五感と直感をフル活用し現場を確かめます。
 
「現物」とは
実際の物を観察すること。
実際に見て触れたうえで正当な評価をくださいます。
 
「現実」とは
机上の空論で終わらせず、現実的な判断を下すこと。
 
これらの情報を得るにはフットワークの軽さが大事になります。

三現主義は「現地」「現物」「現実」のこと。
インターネットは手軽に情報が入手できる便利なツールですが、最終的な意思決定を下す際には、実際に現地に赴いて現物を確認し、物事を現実的に考える三現主義を実行しなければなりません。
イベント会場の選定を例に挙げるなら、まずは会場へ足を運び、インターネットで得られた情報と照らし合わせる必要があるでしょう。
たとえインターネット上の情報に記載されていた収容人数と予定来場者数が合致していたとしても、自身の目で実際に会場の規模を観察し、予測や机上の空論だけで済ませることなく、
企画チームでは三現主義の現地・現物・現実に基づいた事実を踏まえて正しく判断するとよかったでしょう。

2.ドメインや製品の見直し

2-1.ドメイン(自分の領域)

★例:ビジネスで起こりえる問題
会社が大規模な先行投資を行った。
巷で人気のドリンクの製造販売事業を開始したが、売り上げが一向に伸びない。
「売れない理由はないはずだ!」と激を飛ばすが、具体的な解決法は考えられていない・・
 
★使い方
「得意分野で優位に立つためにドメインを重視する。」
 
企業が経済活動を行う領域のことを「ドメイン」と呼びます。
 
ドメインには。
顧客層・ニーズ・コアコンピタンス(強みとなる商品やサービスのこと)の3つの定義があり、本業を強化したり新規事業を考えたりするときには、これらの定義を明確にして事業を進めることが重要です。
どのような顧客層のどのようなニーズに向けて、どのような商品やサービスの開発が必要かを見極めることが大切です。

得意分野から遠くかけ離れた事業の推進は、勝算の見えない競争によって限りある経営資源が確実に浪費されていくだけです。
自社のドメインが「顧客層」「ニーズ」「コアコンピタンス」の3つの定義を満たしていたければすでに業をリードする競合他社には太刀打ちできません。
 
市場での競争優位性を獲得するには、自社の得意分野であるドメインを基盤にした本業重視の戦略を立てるのがセオリーです。
したがって、事業の拡大を目指して新規事業を展開するのであれば、本業や本業の強化につながる周辺事業など、自社のドメインに適した分野から選択するのがよいでしょう。
不慣れな分野へ安易に新規参入するのは得策ではないといえます。

2-2.撤退・新規サイクル

★例:ビジネスで起こりえる問題
ゲームやアニメの人気に伴い、メディア事業部を立ち上げたおもちゃメーカー。
一次は業績も好調であったが、この数年は赤字続きで、社員の多くは「特化型の他社にかなうはずがない」とあきらめムード。
 
 
★使い方
「市場に合わせて「撤退」か「新規」かを選択する。」
 
 
企業の成長には、成長戦略が必須。
成長戦略とは「撤退」と「新規(拡大)」を繰り返し、事業の新陳代謝を図ること。
外部環境の変化にも適応するとともに、経営資源の有効活用にもつながります。
 
撤退と新規の判断基準は2つあります。
 
「外部要因」
市場規模に縮小があれば撤退、始業の創造や既存市場の拡大があれば新規を選択します。
 
「内部要因」
不採算部門や衰退部門があれば撤退、経営資源のシナジー(相乗効果)を期待できれば新規が有効です。
 

企業を取り巻く環境は、2~3年で変化します。
そのような状況下で業績を伸ばすには「撤退」と「新規」のサイクルを回すことで、事業を新陳代謝させなければなりません。
撤退と新規の判断基準は、外部要因と内部要因の2つに分けられます。
 
たとば、おもちゃメーカーであれば、内部要因である事業部門の不採算とシェアの縮小が問題です。
今後3年以内の黒字化が見込めないのであれば、早期に縮小か撤退の意思決定をすべきでしょう。
不採算事業からの撤退により回収した経営資源は、例えば、近年ニーズが高まっている赤ちゃん向けのおもちゃ事業を立ち上げるなど、成長分野に投入することができます。

2-3.製品ライフサイクル

★例:ビジネスで起こりえる問題
電化製品に定評がある会社だが、最近はマイナーチェンジを繰り返すだけで、売り上げも下降気味。
開発部はこの状況から抜け出す方法を模索するが、よい策が見つからない。
 
 
★使い方
「製品がたどるプロセスの段階を知り、新商品投入の機会を見出す。」
 
「製品ライフサイクル」とは、製品が誕生してから消えるまでのプロセス。
 
「導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期」の4段階があり、最も利益が上がるのは成長期。導入期は、新しい物好きのイノベーター(すぐに興味を示す顧客層)が飛びつき、
次にアーリーアダプター(前者の反応を見る顧客層)が追随。
成長期でフォロワー(他社の意見を気にする顧客層)が広がり一気に売り上げが拡大します。
 
「導入期⇒成長期」の製品をふやすには、新製品の投入が不可欠です。
 

製品ライフサイクルには、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4段階があります。
売り上げや利益を向上させるには、製品ライフサイクルの若返りが欠かせません。
 
製品の若返り策は「新しい技術の導入」「新しい用途の開発」「イメージの若返り」「復刻版」「海外進出」の5つ。
例えば冷蔵庫ならAIを搭載し食材の食べごろを知らせる(新技術)、災害時の備蓄に特化した製品の開発(新用途)など、さまざまな可能性が考えられます。
この会社では、各製品がライフサイクルのどの段階にあるのかを把握して、成長期の製品をいかに増やすかを考えることが、売り上げ拡大のポイントになります。

2-4.Win・Loseモデル

★例:ビジネスで起こりえる問題
製品の卸先であるマーケットは、正当な理由もなく、無理な値下げを要求。
営業担当は「長く良好な関係を続けてきたのだから仕方ない」と思いつつ、このまま取引を続けるべきか悩んでいる。
 
 
★使い方
「WinとLoseの視点で互いの関係を評価し、改善を図る」
 
自分にとってメリットがある関係であればWin、デメリットがあればLoseと表す「Win/Lose」は、個人間でも企業間でも使える視点です。
 
例えば自分にメリットがあり、相手にデメリットがあるならWin-Lose、逆であればLose-Winのように、WinとLoseを組み合わせることで互いの関係を客観的に評価できます。
もし、一方あるは双方にデメリットがあるなら、互いにメリットがあるWin-Winを目指すか、取引を終了するなど、関係の見直しを検討します。
 

どちから一方がLoseである以上、両社の関係は平等とは言えません。
そればかりか「Win-Lose」や「Lose—Win」の関係が続けば、Lose側が不満を募らせ、そのしわ寄せによって相手のWinを消滅させる可能性もあり、結果的に「Lose-Lose」の関係に陥る恐れがあります。
したがって、長く良好な関係を維持できるように、互いにメリットを分かち合える「Win-Win」の関係を目指したいところです。
このマーケットでは、まずは相手が要求する値下げの理由を確認したうえで、双方に大きなデメリットが生じないように、希望額の半値を提示するなどの妥協案を模索しましょう。
相手があくまでも自社のWinのみを求めるようであれば、取引を終了するNo Dealも視野に入れなければなりません。

3.マーケティング

3-1.マーケティングの4C

★例:ビジネスで起こりえる問題
マーケティング担当は、大胆な低価格路線を打ち出し、一時は売り上げを好転させたが、ここ数年は低迷が続いている。
顧客が低価格に不満を持つはずはないと確信しているが、打開策を見いだせない。
 
 
★使い方
「マーケティングに欠かせない、顧客が求めている4つの価値」
 
「マーケティンの4C 」とは、顧客にとっての価値(Customer value)、顧客の負担(Cost to the Customer)、入手の容易性(Convenience)、コミュニケーション(Communication)のことで、
マーケティングを考える上での重要な指標となります。
顧客は商品の購入にあたって、4つの価値のいずれか1つ以上を求めます。
すべての顧客価値を高めるのは自社の利益圧迫につながるため、どのCを強化したら自社の弱みが改善され、競争力が高まるのかを考えます。
 

マーケティングを考えるうえで重要となるのは、顧客の視点です。
顧客はより価値の高いものやサービスを選ぶため、マーケティング成功のカギは4Cの強化にあります。
4Cとは、「顧客にとっての価値」「顧客の負担」「入手の容易性」「コミュ二ケーション」のことです。
自社がどのCを強化すれば顧客価値を高められるかを分析しなければなりません。
低価格の商品は顧客の負担を軽減させるため、リピート率の向上に期待できるかもしれませんが、ブランド力を重視する顧客にとっては魅力が伝わりにくく、結果的には顧客価値を低下させる可能性があります。
例えば、「顧客にとっての価値」を強化する場合は、高品質化やデザイン性の向上などによってブランド力を高め、既存の商品との差別化を図る、「コミュニケーション」を許可する場合は、ファンサイトを作ってお客様の生の声を集めるなどの、不足しているCを補う方法を考えましょう。

3-2.3C・4Cの分析

★例:ビジネスで起こりえる問題
健康食品事業を展開する会社は、流通コストの削減と顧客層の拡大を目的に、店舗販売を取りやめた。
今後は全商品をネット上で販売するが、既存客層の多くはネットになじみのない高齢者で「買い方がわからない」という苦情が多発している。
 
 
★使い方
「戦略立案時の見落としを防ぐ4つの視点」
 
戦略を考える際のフレームワークの「3C分析」は、社内を自社(Company)、社外を競合(Competitor)と顧客(Customer)の3つの視点に分けて定義し、自社だけではなく社外にもしっかりと意識を向けます。
マーケティングの強化を図る場合は、ここに販売網や流通網を意味するチャネル(Channel)を加えて「4C分析」とします。
 
4つの視点で現状を分析し、いかに成功要因を導き出すかが戦略の成功を左右します。
 

自社の利益と顧客の価値を共有し合い、互いが満足できるマーケティング戦略を立てるには、3C分析「自社」「競合」「顧客」に、「チャネル」を加えた4C分析が必要です。
 
例えば健康食品業界であれば、商品を実際に購入する顧客と、商品が手元に渡るまでのチャネルの視点を欠くわけには行きません。
店舗販売の中止の理由が、顧客の拡大と流通コストの削減のためなら、それは既存顧客をすてて時代の流れに則っただけの自社よがりな戦略と言わざるを得ません。
現状のチャネルは縮小にとどめて、既存の顧客と新規顧客層にやさしいチャネルを両立することも視野にいれ、4Cの視点で自社の方針がどのような影響を与えるのかを認識しましょう。
 

4.優先順位の決定

4-1.ペイオフマトリックス

★例:ビジネスで起こりえる問題
社長は、自分が思いついた経営施策を手当たり次第に遂行しないと気が済まない。
当然、すべてが高い成果につながるわけではなく、収益もさほど上がらないため、社員は無駄な努力を強いられていると感じている。
 
★使い方
「インプットとアウトプットで投資対効果を評価する」
 
手間と成果の関係は「インプット」と「アウトプット」を考えることで明確化できます。
 
つまり、インプットを手間、アウトプットを成果としてとらえれば、投資の効果やパフォーマンスの評価ができるため、どうすれば手間を減らして高い成果につながるかを考えることになります。
 
また、インプットを「遂行の難易度」、アウトプットを「収益の大小」で評価すると、会社の経営施策や課題の順付けにも応用できます。

経営施策や課題の遂行にあたっては、無駄な努力により収益が下がることを避けるためにも、投資対効果を重視して、いかに少ない手間で高い成果につなげるかを考えます。
この投資対効果を考える上で役立つのが、「インプット」と「アウトプット」の「ペイオフマトリックス」です。
ペイオフマトリックスとは「インプットの遂行」の難易度を横時に、「アウトプットの収益」の大小を縦軸に配したマトリックスで、施策や課題を落とし込んでいくことで、それぞれの位置関係によって投資対効果を検証できます。
 
例えば会社は「遂行が困難でも収益も小さい」しさくであれば「時間の無駄」になるため控えたほうがいいと判断できますし、逆に「遂行が容易で収益も多いの」のであれば、ボーナスチャンスととらえ、優先的に進めていくべきで結果として高い成果につながります。

4-2.重要性✖緊急性

★例:ビジネスで起こりえる問題
Aさんは、どんな業務にも全力を注ぎ、それほど重要でもない案件に忙殺されることが多々ある。
上司からは次々と仕事を振られるが、Aさんは仕事をこなす時間的な余裕がない。
 
 
★使い方
「重要性と緊急性を掛け合わせて仕事の優先順位を明確にする」
 
仕事は、重要性と緊急性の大小によって分類することができます。
緊急性の高い仕事には最優先で取り組まなければなりません。
しかし、重要性の大小を軽視して計画をたてると、時間にゆとりが持てず、新しい仕事を受け入れる余地もなくってしまいます。
仕事で、重要性と緊急性の掛け合わせにより、優先順を明確にします。時間的な負担が大きい「重要性大×緊急性小」の仕事をふやすことでゆとりと成果の両立につながります。
 

仕事の優先順位を決める「重要性」と「緊急性」の大小を組み合わせたマトリックスを活用します。横軸を「緊急性」の大小、縦軸を「重要性」の大小として、現状の仕事を4つに分類してみましょう。
Aさんは、下段左に配された「重要性小✖緊急性大」の仕事は、隙間時間に短時間で済ませるのが理想です。
一方下段右の「重要性小×緊急性小」の仕事は、急いで片づけても大きな成果を生む可能性が低く状況によっては保留にします。
反対に優先すべきなのは、上断右の「重要性大×緊急性小」の仕事です。
この仕事を前倒しで進めて緊急性を上げないようにすれば、時間的なゆとりと高い成果の両立が可能になります。
仕事の重要性に応じて時間的なメリハリをつけ、日々の忙殺から解放されましょう。

第2章 最後に

問題の洗い出しは問題解決に向けた最も重要で、重きの大半を置いてもいいというくらい大事なことです。
それくらい重要なものであるにもかかわらず、なかなか本当の問題に気づくことができないのもまた事実です。
ぜひ、これらのテンプレを使用して問題解決の初めの一歩を大きく踏み出しましょう。

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なっしー(岩瀬 勝義)

なっしー(岩瀬 勝義)

インフラエンジニアとして働きながら、趣味でプログラムやネットワークを勉強し、 収入の三本の矢を目指して、仮想通貨や不動産やブログなども勉強中。 一旦の目標としてどこに住んでいても生きていいける基盤つくりを目指しています。