顧客体験や商品の魅力を高める インテリジェント・アプリケーションについて解説！

激変するマーケットや競争環境の変化、および顧客の期待の高まりにより、企業は運用を効率化しながら新しいサービスを迅速に提供し、イノベーションに集中することを余儀なくされています。デジタル化を加速させるには、デジタル戦略、顧客体験、サービス自動化への投資を増やす必要があります。
 
インテリジェント・アプリケーションは、AI技術が組み込まれた、または統合されたエンタープライズアプリケーションのことを指します。 インテリジェントな自動化やデータに基づく洞察、生産性や意思決定の向上に向けた提案によって、人間の活動を支援、または代替します。インテリジェント・アプリケーションは人工知能（AI）で拡張され、取引や外部ソースからのデータが注入されています。生成AIに見られるように、ユーザーや他のアプリケーション、システムとのやりとりから学習し、時間の経過とともに自律的な応答を改善していくことができます。
ネットフリックスの映画推薦やアマゾンの商品提案から、グーグルのパーソナライズされた広告まで、今やインテリジェント・アプリケーションはすべての人の日常生活の一部となっています。
 
エンタープライズアプリケーションプロバイダーは現在、AI技術を自社製品に組み込んだり、AIプラットフォームとしての機能をERPやCRM、人的資源管理、生産性アプリケーションに導入したりしています。
CIOは、自社が利用しているパッケージソフトウェアプロバイダーに、「どのようにAIを取り入れ、高度なアナリティクスやインテリジェントプロセス、優れたユーザーエクスペリエンスといった形でソフトウェアのビジネス価値を高めるのか、製品ロードマップで説明してほしい」と求める必要があるでしょう。
顧客やユーザー、商品の所有者、アーキテクト、開発者の体験を変革する可能性があるインテリジェント・アプリケーションは、生成AIの域をはるかに超えたもので、今後のデジタル戦略の飛躍に寄与するとして大きな期待が寄せられています。

1       インテリジェントな意思決定：アナリティクスを活用し、つながりを持ち、あらゆる状況に適応できる、継続的な意思決定を可能にする
2       適応型の体験の提供：チャットbotや自然言語インタフェースなどによってユーザーのニーズに応えられる
3       プロセスの拡張と変革：従来のビジネス情報アプリケーションとは異なり、自動化とダイナミックなビジネス変革を促進する

インテリジェント・アプリケーションの市場は、予測期間（2021年～2026年）に1年あたりの平均成長率が 32%を記録すると予想されています。機械学習（ML）や人工知能（AI）などの先進技術は、さまざまな業界のビジネスを継続的に変革しています。
世界中でスマートフォンの普及が進んでいることが、インテリジェント・アプリケーションの世界的な市場成長を促進する大きな要因の1つとなっています。製造業では、設備、機械、センサー、テストステーション、シミュレーションマシンなどの現場システムから、ERPやHCMのデータと組み合わせた運用データを取得、保存、判断するSaaS分析クラウドアプリケーションをベースとした、インテリジェント・アプリケーションの重要性が急速に高まっています。AIとMLは、ダウンタイムが発生した場合に、迅速な意思決定を行うことで生産性を最大化するために、パターンと相関関係を理解するために高度に使用されている主要技術です。
COVID-19の流行後、世界の多くの国で、在宅勤務が主流になりつつあります。ソフトウェア産業であるため、低いレベルで打撃を受けている企業は、必要なインテリジェント・アプリケーションを提供できるようになりました。さらに、このパンデミックは市場にもチャンスをもたらしたともいえます。インド政府はArogya Setuアプリを導入し、国内のCOVID-19を追跡して認知を広め、現在までにこのアプリは国内で9.8億ダウンロードを記録しています。

・自動化：気象、衛星、その他のデータを観測する損害保険アプリケーションが、あらかじめ指定された災害（大規模水害など）の発生時に、自動的に保険金請求をする。また、持続的にリスクが低下した後に、特定の契約者層に保険料（掛け金）の割引を提供する
・拡張：機械学習とデータ間の関連性の構築を踏まえた、需給理解に基づくダイナミックプライシング（動的価格設定）モデルにより、アプリケーションがクレジットを付与する
・適応性：人事担当者向けの自己管理アプリケーションが、ユーザーやその同僚が1年の大半を通じて、あるいは特定の時期に使用する情報に応じて、デスクトップショートカット（コンプライアンス研修資料や最新の業績評価などの）を提供する

アプリケーションにさらなる機能ではなく“インテリジェンス”を追加するITプロバイダーが増えています。競争上の差別化と導入促進が狙いといえます。
インテリジェント・アプリケーションやサービスの開発コストが低下しているため、独立系ソフトウェアベンダー（ISV）など、より多くのITプロバイダーが市場に参入している現状があります。
生成AIブームなどを背景にAIのビジネス価値への期待が高まり、それに伴ってあらゆる種類のAIソリューションに対する経営陣の信頼が高まっているのです。

・コアプロセスや特定の業種、個々のネットワーク環境でよく認知されていて、解決が困難な課題を選択し、最もインパクトのある活用事例を特定する
・戦略的意思決定モデルを構築し、自社がどんな場合に機能を開発するか、適切なIT企業を買収するか、大手プロバイダーと提携するかを決める
・顧客基盤から得られる可能性がある価値とユニークな成果を定量化し、潜在的収益を調査する

いかがでしたか。ビジネスにおける貴重なデータは、多種多様なフォーマットでかつ、散在しています。組織にとって継続的に、すべてのデータを探し出し、整理し、お客様のフィードバックを理解することは困難なことです。インテリジェント・アプリケーションは分析を提供するだけでなく、アクションを推奨または自動化し、さまざまな改善につなげることができるものです。その中には、パーソナライゼーションの向上やリソース利用の効率化、精度の向上、自動化の促進、よりきめ細かな対応、意思決定の支援などが含まれます。今後、顧客はこうしたインテリジェントな成果をますます求めていく傾向にあるといえるでしょう。1つ以上のAI技術による学習に基づき、学習、適応し、新しいアイデアや成果を生み出すことで、価値を創造し、市場にディスラプション（創造的破壊）をもたらすインテリジェント・アプリケーション。この新しい技術は、生成AIブームによって、拍車がかけられているインテリジェントな成果への要求に対して、多くの恩恵をもたらしてくれます。
 
参照先：
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2002/14/news006.html
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2401/19/news008.html
https://dxc.com/jp/ja/cp/offerings/applications/EnterpriseApplication_and_SaaS/sap/dxc-intelligent-application-operations-for-sap-s4hana